約束のネバーランド【ネタバレ】第125話「噓吐きの同盟」感想!

約束のネバーランド【ネタバレ】125話

W・ミネルヴァことノーマンと鬼達との邂逅。
食用児の解放運動の肝である「秘密の会談」が今始まろうとしていた。

ノーマンがザジを伴って向かったのは
ギーラン卿という鬼の元へであった。 そして「会談」は始まる。

そこでノーマが欲しいモノは戦力であり、
差し出せるのは勝利と復讐の成就であると持ちかける。

ギーラン卿の一族は
現在の鬼世界を牛耳る王家・五摂家に裏切られて堕としめられたのだ。

ノーマンはギーラン卿を裏切った王家を倒して卿を王にすると約束し、
その見返りとして「全食用児の解放」と「自治権の容認」を要求する。

そして食料はラートリー家と彼等のクローン技術を差し出すと約束するのであった。

お互いにメリットを感じたこの「会談」は合意に達し、
署名に血の拇印と固い握手が交わされる。

そして会談からの帰途—————————
鬼を共倒れさせようと目論むノーマンは、
ギーラン卿が食用児を生かす気など更々ない事を承知していた。

「最後に笑うのは僕たちだ。」
ノーマンは不敵な微笑みを浮かべてそう言うのだった——————————。

飢えた鬼の群れの中で

ハアッ・・・ フーッ・・・ ハアッハアッ・・・
大勢の狂暴な鬼達が群れの集まりの中心を見ている。

そこにいるのは―———————
ミネルヴァ、またの名をジェイムズ・ラートリー。
しかしてその正体は食用児のリーダーのノーマンであり、
もう一人は彼の護衛役のザジであった。

ザジは危険を察知し背中の刀に手を添えていた。

「ザジ、大丈夫。 刀を納めて。」
ノーマンがザジに呼びかける。

「すまないね。君があまりにも美味しそうだから・・・」
その場で一番貫禄のある鬼がノーマンに言う。

「構いませんよ。皆さんの不自由さは十分にお察ししています。」

「―———で、卿はどちらに?」ノーマンが問う。

シャラン・・・シャラン。

遠くの方から金属? アクセサリーのこすれ合う音が聞こえてくる。

そしてひと際大きな影が・・・
奥からゆっくりとノーマンの方へと移動してくる。

シャラン! 影は杖をついている。

ビシッ! (全ての鬼に緊張が走る。)

「今おいでになる。」貫禄鬼が言う。

シャラン、シャラン!!

大きな山のような影がノーマンの前で止まる。

ノーマンの前に姿を現したのは・・・
彼の3倍はあろうかという身長に、
大きくカサカサにひび割れた手足―——————
高貴な法衣を被り、
美しいアクセサリーを幾重にも纏った、
得体の知れない圧倒的な迫力を持った・・・
「貴族」の如き荘厳さが溢れ出る鬼であった—————————。

ホラーテイストなオープニングに導かれて
今回の「約束のネバーランド」は幕を開ける。

それにしても、何でこんな危険な無法地帯で「会談」があるのか?
この中にちゃんと話し合える鬼がいるのか?
かなりの不安が読者の心に忍び寄る。

と! そこに現れる「異様な鬼」にさらにビックリ!!

この鬼の大きさと妙な迫力に気圧されながらも次へと進もう。

復讐と開放と

「遠路ご苦労、W・ミネルヴァ。」目の前の大きな鬼が労う。

「お久しぶりですギーラン卿。」ノーマンも笑顔で答える。

青年と大きな鬼が見つめ合う。

「では掛けたまえ。」ギーラン卿と呼ばれた鬼がノーマンを促す。

ノーマンはゆっくり着席する。

「では本題に入ろう。」ギーラン卿が口を開く。
「今一度聞く・・・ぬしらは我らに何を求めて何をよこす?」

「欲しいのは戦力。差し出せるものは勝利・・・そして復讐の成就です!」
ノーマンは清々しく言い切る。

「700年前、貴家を裏切り堕としめた王家と現五摂家・・・・」
ノーマンは一息置く。
「全ての首の献上をお約束する。」

「現体制を牛耳る一族を一掃すればあなた方が返り咲ける。
復讐を果たし、この世界は貴方のものになる。」

「ではぬしらの望む見返りは?」ギーラン卿が問う。

「全食用児の解放。そして食用児の自治をお認め頂きたい。」
ノーマンはあくまで笑顔だ。

ザワザワッ! (鬼達がどよめく。)

「無論あなた方の食料を絶つ意図はない。」
ノーマンは続ける。

「今の食用児は全て解放してもらいますが
農園の設備はそのまま差し上げます。
代わりにラートリー家を好きになさって下さい。
彼等を食うもよし、新たに養殖するもよし。

いやいや、心配はご無用。

今のラートリー家のクローン技術なら―—————
髪の毛一本で何百人もの人間の増産が可能です。」

「そしてぬしも―——————
一族を追われた報復をするという訳か・・・ジェイムズ・ラートリー?」
ギーラン卿はアゴに手を当てて言う。

「うむ、ラートリー家と王家・五摂家とは強く癒着している。
食えて消せれば一石二鳥というもの。」貫禄鬼が言う。

「さあ!手を組みましょう。
生き残るためにも・・・そしてお互いの復讐のためにも。」
ノーマンはそう言いながら誓約書を前に差し出すのであった。

ノーマンが提案する鬼へ差し出せるモノと自分への見返り。
全てが完璧すぎて言葉が出ない。
何処にも隙がなく食用児にも鬼にもメリットだけしかない計画だ!

この知的過ぎる戦略と心理的な駆け引き、
そして圧倒的に相手を読み込むボードゲームの様な運び
これぞノーマンの真骨頂!

それにしても・・・
ラートリー家がこんな形で会談のポイントとなるとは・・・
ノーマンの隠れた残忍さを垣間見たようで
正直ゾッとしたことも事実である。

同盟成立

ノーマンは言葉を続ける。

「私には策とそれに足る情報がある。
権力中枢と関わりの深いラートリー家だからこそ得られた内部情報もある。

しかし我らには〝力〟がない・・・
人間は惨めなほどにか弱いのです。
今あるこの〝鬼世界〟を確実に打ち倒すためには
貴方たちの〝戦力(ちから)〟が是非にも不可欠なのです。

逆にあなた方は〝戦力〟はあるがこの700年、何もできなかった・・・
それは〝勝つ術〟がなかったから・・・。」

「だから・・・我らが組めば全てが叶います。」

(その場がシンと静まり返る——————)

「700年待ち望んだ復讐と勝利を我々の手に!
そして共に忌まわしきこの世界を破壊しましょう!!」
ノーマンはそう言って両手を広げて笑うのであった。

その時ギーラン卿の脳裡には―———————
裏切られて「追放」される忌まわしい記憶が過ぎっていた。

「よかろう。」ギーラン卿が答える。
「自治を認める。我らは約束を守る。手を組もう。」

「だがのぅ・・・」
ギーラン卿が誓約書に署名をしながら問いかける。
「もしぬしがこの盟約を守れなかったらどうするのだ?」

ノーマン顔色一つ変えずに口を開く。
「その時は・・・
私もろとも我が仲間を食らい尽くせばいい。
煮るなり焼くなりどうぞご随意に!」

「うむ、それでいい。」
ギーラン卿は親指を口に含んで表面を小さく噛み切り〝血の拇印〟を押す。
ノーマンもそれに倣う。

「これで成立だ。」

「共に新たな世界を築こう。」

ノーマンとギーラン卿は固い握手を交わすのであった。

とうとう同盟が成立する!
それにしても驚いたのはノーマンが盟約を守れなった時の言葉だ!!

「私もろとも我が仲間を食らい尽くせばいい」・・・って!!
この約束は何なんだ? これはおかしいのではないか?

自分達の命と引き換えに鬼と約束を交わすなんて・・・
絶対に小さい子供達は何も分かってない筈である!

ノーマンがみんなの事を本当に思っているのなら・・・
この「命懸けの計画」をみんなに包み隠さず話して、
意見がまとまるまでトコトン議論し続けなければいけない。

でもこの「仲間を食らい尽くせばいい。」という言葉を聞くと・・・・
どうやらノーマン一人が勝手に決めたようで、
独裁者の匂いがプンプンと漂ってくるのである。

この時点で昔のノーマンとは違う、ヤバイと思った読者も多かったはずでは?
とにかくこんな嫌な不安は心に押さえこんで―—————
行く末を見守っていこう。

最後に笑う者

ギーラン卿の住み家からの帰途―———————

「大丈夫だよザジ。 これでいいんだ。」
ノーマンはザジに語りかけながら自問自答していた。

戦力がない?
自治を認めろ?
農園設備は渡す?・・・・・全部嘘だ!
あの鬼達はあくまで駒。

「そして僕らは無血でこの革命に勝つ。」
―——————そこは少し前のノーマンの部屋。
4人の仲間の前でノーマンはチェスの駒を持って説明していた。

「戦争になればどう転んでもこちらにも犠牲は出るだろう。」
そう言いながらノーマンは小さなポーンを大きなクイーンを弾く。

「だから食用児はぶつけない。」
コン! とクイーンにキングを当てる。

「共倒れさせるってわけか?」とヴィンセント。

「ご名答!」ノーマンは微笑む。
「ギーラン家はあくまでその駒の一つなのさ。」

―———————その頃、鬼の住み家では——————―—
「この我が人間と同盟か。」
ギーラン卿は誓約書を見ながら呟いていた。

「まあ、あやつならやり遂げるであろうな。」
そう言いながらノーマンの〝血の拇印〟をジッと見つめ―———————

レロッ!

いきなり卿が〝大きな舌〟で彼の拇印を舐め回す。

「美味い!」
わずか一滴のみでこの美味さ・・・
やはりあの小僧はただの人間ではない。

「あやつ・・・随分と若い。」貫禄ある鬼が言う。

「確かジェイムズ・ラートリーはだいぶ前に死んだはず・・・。」とギーラン。

「偽物ですか・・・まさか奴も食用児―——————」
グレイス=フィールドから逃げた特上3匹・・・もし奴がそうなら!」鬼が続ける。

「そう、あやつは王すらも食えない〝鬼の神様〟の御膳。」
ギーラン卿は舌なめずりしながらそう言うのであった。

一方、帰途をザジと歩くノーマン。

「ギーラン卿も噓吐きさ、僕らを生かす気など更々ない。」
ノーマンはキッパリ言い切る。
「ボクの脳(にく)も卿の狙いの一つなのさ。」

「僕らを利用して復讐を遂げた暁には、まず僕を殺して食べるだろう。」

そう・・・互いに手を組むのは表面だけ・・・
肚の底では互いに相手の寝首を狙っている・・・

「せいぜい僕を食い殺す夢でも見ておくがいい。
最後に笑うのは僕たちなんだから!」

ノーマンはそう言って冷たく微笑むのであった——————————。

何なんだこの高度な政治的な駆け引きは!
こんなの少年誌のレベルをとっくに超えてしまっているではないか!

同盟の裏でノーマンとギーラン卿のそれぞれのどす黒い思惑が渦巻く。

こんな現実のリアルな駆け引きを―——————
少年誌で見れるなんてとても複雑な気分である。

ホントに大人はややこしい生き物なのである!

約束のネバーランド125話の感想

今回の「約束のネバーランド」はエマとレイが出ない!?
ノーマンの一人だけの特殊な回となっている!!

そしてノーマンとギーラン卿、
この二人の同盟締結までの駆け引きが丁寧に描かれる。
それだけ今回のエピソードは今迄の中でも重要だという事だ。

で、ここで一番注目したいポイント・・・それは〝ノーマンの表情〟だ!

みなさんもお気付きだと思うのだが—————————
ノーマンはギーラン卿との会談では「笑顔」しか見せないのである。
そう、この「笑顔」こそが曲者なのである!

「笑顔」はその裏に全てを覆い隠す「隠れ蓑」だ。
笑う事で相手に心を読まれるのを予防し、油断させて、
次の決定的な一手を相手へと突き刺す事ができる―—————
「笑顔」は彼にとっての「必殺の武器」でもあるのだ!

しかも「笑顔」以外にノーマンがスゴイのは―———————
ボードゲームをしているかの如く「物事」の何手も先を予測し、
最後には必ず自分が有利になるよう終始主導権を握り続けてしまえる事である。

今回の会談においてもこれらの能力が全て活用されているのだ。

そして最後の場面のノーマンの冷たい「笑顔」からは———————————
もう全てを通り越して、「怖さ」と「残忍さ」しか浮かんでこない。

これではまるで別人ではないか!

こんなノーマンは見たくない、どうかあの癒しの笑顔を見せて欲しい。

お願いだから―——————————
昔の・・・・ホントに優しく、慈愛に満ちあふれたノーマンに戻ってほしい・・・

心の底から強くそう願いながら―——————今回のレビューを終えたいと思う。

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